[From Rotor magazine Winter 2003/2004 Vol.16 No.4]
本稿は西川 渉氏のご厚意により抄訳頂いたものです。
| 中国ヘリコプター事業の将来構想 By Timothy M. Biddle 昨年10月12〜15日、HAI(国際ヘリコプター協会)加盟の26社が上海を訪ね、中国の政府および企業の要人と話し合った。上海デルタ地域に民間ヘリコプター事業を創設し、最終的には中国全土に拡大発展させることの可能性に関する会議である。 上海市はかねて、ヘリコプターの導入を望んでいた。というのも、その現状は次のような状態にあるからである。 中国はコミュニスト政府の支配下にあるが、2001年末WTO(世界貿易機関)に加盟すると同時に「経済活動を開放」した。これにより中国市場は世界に開かれ、国内事業に対する外国投資も認められるようになった。しかし空域は開放されず、香港やマカオを除く中国国内で飛行できるのは軍用機に限定され、商用機や自家用機は飛行できない。 結果として、中国には民間ヘリコプター事業が成り立たず、全土で122機の民間ヘリコプターが存在するにすぎない。 中国政府は、世界の多くの国で普通におこなわれているヘリコプター消火などの業務についても、契約していない。したがって現在、都市や地域の政府がヘリコプターによる何らかの作業を必要とする場合は、空軍や海軍に依頼せざるを得ない。軍は、そうした要請に応えるだけの機材や人材を有しており、対応できるものと思われる。 昨年、HAI加盟のITCエアロスペース社と全中国商工業連合会は、HAIのロイ・リサベッジ理事長(president)を上海に招き、市の高級幹部と共にヘリコプターによる民間事業および公的利用の将来性について語り合う会議を開いた。この会議には世界のヘリコプター関連の企業も多数参加した。 リサベッジ理事長が強調したのは、ヘリコプターが自由に飛べるように低空域を開放すること、大空港でのヘリコプターの発着を認めることの2点であった。 中国政府は2003年5月、民間航空のために空域を開放することを決断した。しかし「オープン・スカイ」とはいっても、好きなときに飛べるわけではない。軍用機以外の民間機が飛ぶときは、あらかじめ中国民航局(CAAC)の事前の承認が必要である。この承認を得るためには7〜10日を要する。 しかし上海市当局は、事前承認の緩和を含めて空の開放に楽観的であり、そうなれば商用航空および公安航空の新しい時代が到来すると見ている。 2003年10月の上海会議に出席したのは46社であった。中国側からは中央政府、上海および周辺市当局代表、民間公司5社が出席した。 外国出席者は米国から26社、台湾から8社、日本から7社、カナダから5社、ドイツとロシアから各2社、そしてオーストラリア、フィージー、アイルランド、南アフリカから各1社である。 この会議で明らかになったことは次の通りである。 要するに中国は、ヘリコプターに関する機材、事業、パイロット、整備士について広大な未開市場である。 そこで上海会議の中国側出席者は近い将来、上海および中国全土でヘリコプター事業立ち上げのために2段階のアクションを起こすという計画を明らかにした。 第1は中国政府要人および事業人から成る「中華ヘリコプター協会」(CWHA)を設立する。CWHAは事務局を上海に置き、HAI同様、何人かの常勤スタッフをそろえる。CWHA発足後は、欧州ヘリコプター協会(EHA)同様、HAIと提携し、支部としても活動する。 CWHAの主要な目的は、中国全土の低空域を開放し、ヘリコプターの自由な飛行を禁じている法規を欧米なみに改めるよう中央政府に働きかけることである。 CWHA設立後、上海市当局は「上海ヘリコプター・センター」を設置する。同センターはみずからヘリコプターを保有し、市当局の公用のため、もしくは民間企業と契約して運航する。当面の主要な業務は上海地区における消防、警察、救急である。 そのためにセンターはパイロット、整備士、その他の地上要員を雇用し、運航管理施設、整備施設、予備部品貯蔵庫を運営する。 CWHAは2003年中に設立し、上海ヘリコプター・センターは2004年末までに稼働する。 かくて、中国のヘリコプター事業は、中央政府の空域開放とも相まって、大きく華開くこととなるであろう。 |